【人工股関節の手術を受ける方向け】入院までのスケジュールはこんな感じ
人工股関節の手術を受けることが決まったんだけど、入院前はどのようなスケジュールになるの?
入院までの通院のスケジュールや、準備しておくべきことなども知りたい。人工股関節の手術経験者のリアルな話を聞いてみたい!
こういった疑問に答える記事を書きました。私の経歴と病歴は以下の通りです。
記事の著者のタカシー→と申します。
私は指定難病の特発性大腿骨頭壊死症になったことで、2019年に人工股関節全置換術を受けました。
現在は左脚に人工股関節が入っています。
手術の当時の様子や心境の変化、生活についてブログでご紹介しています。
股関節専門の治療院では、股関節痛を引き起こす原因として猫背も指摘されています。長年の癖なのでなかなか改善されないのですが、意識して治すように心がけています。
時期 | 症状 | 当時の心境 | 通院 |
---|---|---|---|
2017年 秋頃 | 左脚の鼠蹊部(そけいぶ)に軽い違和感 | 「疲れが溜まっているのかな・・・」 | 整骨院に通い始める |
2018年 初頭 | 左脚の鼠蹊部の痛みが慢性的になるが歩行はできる | 「左脚が痛い時間が長くてしんどいな・・・」 | 整骨院を継続 |
2018年 夏頃 | 左脚の鼠蹊部の痛みがひどくて歩行もキツくなる | 「歩くのが痛すぎて仕事をしているのが辛い」 | 整骨院を継続 |
2018年 11月 | 歩行時の痛みが酷くて仕事にならない | 「整骨院の効果が感じられないから整形外科に行ってみよう」 | 整形外科を受診して 難病であることを知り 手術を決断する |
2019年 1月 | 仕事を退職して療養生活と手術の準備をする | 「早く手術を受けてこの痛みから解放されたい・・・」 | 手術を受ける病院で自己血の採取や様々な検査を受ける |
2019年 2月 | 人工股関節前置換術を受けて、痛みから完全に解放される | 「手術を受けてよかった。嘘みたいに痛みが無くなった!」 | 歩行時の痛みが酷くて仕事にならない |
2019年 3月 | ・術後の傷が痛み発熱 ・創部感染症になる | 「退院したばかりなのに・・・。もう嫌だ」 | 3週間の再入院 |
2019年 5月 | ・術後の左脚は順調! ・右脚が痛み始める | 「今度は右脚か・・・もう再手術は嫌だ」 | 自宅療養 |
2020年 春頃 | ・左脚は順調そのもの ・右脚が手術前の左脚と同じ症状 | 「手術をせずにこの痛みを取る方法はないかな」 | 股関節専門の治療院に通い始める |
2024年 4月現在 | ・左脚は順調そのもの ・右脚も保存療法の甲斐があり、痛みがかなり和らいでいる | 「このままいけば、右脚の手術を回避できそうだ!」 | 上記の治療院に通いつつ、自宅でセルフケアを行う日常 |
人工股関節の手術が決まってからは入院前日までに入院準備の通院があります。
初めての手術なので「どのようなことが、どういったスケジュールで行われるんだろう・・・」というように不安になりますよね。
痛みがある辛い生活の中で、未経験なことばかりで不安になって当然です。
そこでこの記事では、入院までの通院スケジュールの内容と入院前までに準備しておくべきことをご紹介します。
この記事を読むと、入院前のだいたいの流れがわかることで不安が少しでも和らげることができます。準備すべきこともわかるので、効率よく入院日が迎えられますよ!
手術が決まってから入院前日までのスケジュール
「手術が決まってからは手術当日まで数ヶ月先」ということもあると思います。入院は多くが手術前日で、1ヶ月前になると準備のための通院が始まります。
- 手術前検査
- 自己血の貯血
- 入院
- 手術
手術前検査は、半日以上かかる内容でしたので細かくご紹介しますね。
1. 手術前検査
私が入院をしたのは総合病院でしたので、朝から半日以上かけて病院内をグルグルと回って検査を受けました。
- 歯科健診
- 採血・採尿
- 生理機能検査
- 画像検査
- 呼吸機能検査
- 主治医(執刀医)から手術の説明
①歯科検診
手術前に口腔ケアを行うことで手術後の合併症の発症を防ぐことが目的です。
- 歯垢や歯石の除去と歯ブラシのアドバイス
- 虫歯やぐらついている歯の応急処置
私の場合は歯石が少しありましたので、入院前までにかかりつけ歯科にて歯石の除去をしてもらいました。
保険診療内で別途検査費がかかりますので、お金を忘れないようにしましょう。
②採血・採尿
貧血や体に異常がないかを調べます。
③生理機能検査
心電図をとって心臓の動きの確認がありました。
④画像検査
肺に問題がないかの確認がありました。
⑤呼吸機能検査
あなたの呼吸する力を詳しく調べる検査です。
- 息を大きく吸う
- 息を大きく吐く
- 息を勢いよく吐く
肺活量を測る検査で、全力で肺を使うので結構疲れました。15分〜20分くらいの検査でしたよ。
⑥主治医(執刀医)から手術の説明
最後に主治医(執刀医)から当日の検査の結果を見ながら、手術の説明がありました。
- 手術前の検査の結果
- 手術当日の順番と手術時間
- 麻酔が始まるタイミング
- どのような体勢で手術が行われるのか
- 手術後の入院生活について
主治医(執刀医)からは手術に関して詳しく聞くことができます。その他に気になることがあれば、なんでも聞いておくといいですよ。
気になることは聞いておくと、不安が少しでも和らぎますよ!主治医に聞き忘れたことは看護師さんに聞くと答えてくれます。
2. 自己血の貯血
手術に向けて前もって輸血用の血液を、自分の血液から貯血します。手術時に輸血が必要になった時に自分の血液で輸血するわけですね。
私の場合は400cc採りましたが、1時間半くらい時間がかかりました。早い人はもっと早く終わるそうです。
自己血貯血に必要なものは?
- お薬手帳(服用中の薬がわかるもの)
- ペットボトル1本分程度の水分(ポカリスエットなど)
【輸血同意書】へのサインもするようになりますよ。
自己血貯血後の注意点
自己血貯血後は補食と、十分な水分が必要になります。人によってはだるさや疲れを感じる場合があるそうです。
私の場合は、特別変わった点はありませんでした。
この3点を注意するように言われましたよ。
いよいよあとは入院を待つだけですが、バタバタしないためにも入院日までに済ませておくべきこともご紹介しておきますね!
入院日までに済ませておくべきこと
入院日までに済ませておくべきことは以下のとおりです。
- 限度額認定証の申請
- 生命保険会社への連絡
- 事前の歯科検診で指摘があった場合は歯のメンテナンス
- 入院中に必要なものを揃えておく
①限度額認定証の申請
「限度額適用認定証」を入院手続きまでに準備しておくことで、入院医療費の支払いが自己負担限度額まで軽減されます。
この費用だけ見ると、結構びっくりしますよね。
例)医療費の合計が210万円だった時
・1割負担の場合→実際に支払う金額=21万円
・3割負担の場合→実際に支払う金額=70万円
上記の金額になるのですが【高額療養費制度】を利用することで、〈自己負担額〉を超えた分に関しては払い戻しされます。
払い戻しがあるにしても、一時的でもそんな大金は用意できない!
ということも普通にあると思います。【限度額認定証】をあらかじめ準備しておくことで、窓口での負担額が〈自己負担上限額〉までにできます。
自己負担額に関してはコチラ、もしくはお住まいの自治体(市役所・区役所)に問い合わせてみてください。
最新情報として健康保険証との紐付けができているマイナンバーカードを利用すると【限度額適用認定証】の事前申請の必要はなくなるそうです。
詳しくは厚生労働省のリーフレットでご確認ください。
②生命保険会社への連絡
生命保険に加入いている場合、保険の内容によっては通院・入院の給付金がもらえる場合があります。
保険会社への給付金の申請には保険会社に準備してもらう書類や、あなたが準備する必要があるものがあります。
- 入院・通院証明書(診断書)
- 入院・通院申告書
- 通院証明書
- 通院申告書
- 給付金等請求書
- 領収書のコピー
- 健康保険証のコピー
保険会社から取り寄せてあなたが記入するものや、医師に記入してもらうもの。また、あなた自身が準備するものなど様々。
スムーズに給付金(保険料)をもらうためにも、早めに保険会社に連絡しておくといいですよ!
手術内容/手術日/入院期間などがわかるように準備してから連絡すると、スムーズに話が進みます。
③必要に応じて歯のメンテナンス
手術前の歯科健診で指摘があった方は、入院前に処置しておきましょう!かかりつけの歯科医院がある方は、全身麻酔で手術を受ける旨を捨明するといいですよ。
④入院中に必要なものを揃えておく
入院中に必要なものを早めに揃えておきましょう。
手術前や手術後、ベッドから降りて車イスに乗ってリハビリが始まるなど。場面に応じて必要なものがたくさんあります。
入院前の検査時などに、入院に必要なものが書かれた一覧がもらえるはずです。
一覧をもらってから揃えてもいいのですが、なるべく早めに動き始めたほうが落ち着いて準備ができますよ!
「早めに準備を始めたいけど、どんなものから空絵始めたらいいのかわからないので教えて欲しい!」という方は【必須の15選】人工股関節の入院中に必要なもの【経験者おすすめ】を読むと、スムーズに準備が始められますよ!
入院日のスケジュール(前提として手術日前日)
だいたいが手術前日に入院することが多いと思いますが、入院と同時にやることが意外と多くありますよ。
- 入院手続き
- 入院診療計画書などの説明
- 同意書へのサイン
- 麻酔の説明
- リハビリの実施計画書の説明
- フットポンプ実施の説明
1. 入院手続き
病院に着いたら手続きをします。簡単な書類の記入と説明程度なのがあります。
病院にもよるかと思いますが、手続きが完了すると病室に案内されますよ。
2. 入院診療計画書などの説明
病室に案内されると担当の看護師長さんや、看護師さん方からご挨拶をいただきました。
同時に【入院診療計画書(病院によって名称は違うと思います)】の説明がありました。
- 担当医/看護師さんのご紹介
- 今後の検査内容の確認(採血やレントゲン検査など)
- 手術の内容と手術時間の確認
- 推定される入院期間の確認
以上の内容を確認後にサインをします。
3. 同意書へのサイン
手術や麻酔に関する説明があった後に、同意書へのサインがあります。
主治医(執刀医)、麻酔科の医師。看護師さんから説明があったあとに、同意書へのサインをします。
4. 麻酔の説明
麻酔科の先生との面談で、麻酔時間や方法についての説明がありました。
全身麻酔は、痛みを感じる部位である脳の機能を抑制して痛みを感じなくするもの。意識はなくなり記憶も残りません。多くの場合呼吸が抑制されるので、眠った後に口から管を入れて人工呼吸をします。金属で口を開けるので、ぐらぐらの歯は取れてしまうことがあります。また、術後のどが痛くなることがあります。麻酔中は麻酔科医がつきっきりで全身状態を注意深く観察されます。手術が終わったら麻酔からさめ、意識が戻ってきます。自分で呼吸ができるようになったらのどの管が抜かれます。
※説明時の自身のメモより
手術台の上でエビのように体を丸くして背中から細い管を入れて行われる局所麻酔です。主に胸部・腹部・下肢の手術の時に行われる麻酔です。術後もしばらくは管が残されて鎮痛のために使われます。
※説明時の自身のメモより
説明を聞いてもイマイチかと思いますが、覚える必要は全くありません。
5. リハビリの実施計画書の説明
担当の理学療法士さんとの面談があります。
- 術後からのリハビリの日程
- リハビリの細かい内容
- リハビリの進行予定と目標
こういった内容の確認と説明がありました。
6. フットポンプ実施の説明
手術直後のフットポンプの写真です。
写真は片足ですが、両足行われますよ!
長時間寝たきりでいると血栓(血の塊)ができやすくなり、急に活動を始めた際に血栓が血流の流れにのって肺を詰まらせて呼吸を止めてしまうことがあります。
術後のベッド上の生活では、弾性ストッキングを履いた上からフットポンプをつけます。フットポンプを装着することで、ふくらはぎの筋肉を収縮させて血栓を防ぐのが目的です。
私も術後からしばらくフットポンプが装着されました。定期的に両足のふくらはぎを締めたり緩めたり、プシュープシューと動き続けます。気になる方は、かなり気になってしまうかもです。
▼私の術後の様子はコチラの記事でご紹介しています。
臆病でビビりな私でも乗り越えられたのできっと大丈夫
以上が入院までのスケジュールです。
手術が決まったけどまだ半年以上先・・・なんて方もいらっしゃるかと思います。
初めてのことばかりだし知り合いで経験者がいないので、リアルな話を聞くことができなくて不安・・・。
そう思うのは当然のことです。私もこの記事を選んでくださったあなたと同じように、今のあなたと全く同じ状況でした。
- 何もわからないのでネットで検索しては落ち込む。
- とにかく情報が多すぎて、どれが本当なのかわからない。
- どこから手をつけたらいいのかわからない。
そんな状況。ですが無事に手術が受けられましたし、2週間の入院中にリハビリを終えることもできました。
おまけに言うと、退院後すぐに感染症になり緊急入院という貴重な体験もできました。
臆病でビビりな私でも、退院後5年経過して今このように偉そうに情報発信までできていますよ!
あなたがこの記事を読んでくださっているということは、しっかり前に進もうとされている証拠です!!
なるべく早めに手術に向けて準備さえ進めておけば、あとは手術日を待つのみです。
手術が決まってから入院前日までのスケジュールから順番に読み進めて準備を進めていけば、大きな問題なく退院まで進めますよ!
※この記事の著者の人工股関節に関する体験記事はコチラ